カボッチャマンブログ

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読書感想「運動脳」第3章

第3章 「集中力」を取り戻せ

 

〇 たったひとつのことに集中する

スマホが普及し、いつでも、どこにいても、誰とでも連絡が取れるようになったのは便利で良いことだが、ネットニュースが気になったり、メッセージアプリの通知が届いたり、何か一つのことに集中するのが難しくなった。

 

運動によって、選択的注意力と集中力が改善することがわかった。運動すると脳の頭頂葉前頭葉の働きが活発化してした。頭頂葉前頭葉は意識を集中して、それを持続させる脳の領域だ。運動すると前頭葉の細胞同士のつながりが強化され、脳が外からの情報を扱いきれなくなったときに前頭葉の機能を簡単にパワーアップできるようになtった。

=脳の働きが活発になると、可塑性が促進され、周囲の環境に対処する注意能力も高まる

 

〇思考を一点にしぼる「フォーカス・メカニズム」

脳の報酬系が興奮すると集中できるし、また繰り返しやりたくなる。脳の側坐核報酬系の中枢。神経伝達物質は何種類もあるが、報酬系で有名なのはドーパミン

友人と交流したり、美味しいものを食べたり、仕事で褒められたりしたときにドーパミンがでる。生きていくためにはエネルギーを摂取する必要があるし、遺伝子を残すうえで他者との交流はかかせないため、そういった行動をとったときに脳の報酬系が刺激されるようになっている。

運動すると心地よい気分になるのは、私たちの祖先が狩猟や住処を探すときに走っていたからだと考えられている。

ドーパミンが放出されたときに快感を得るためには、細胞の表面にある受容体がドーパミンと結合する必要がある。ADHDの人は、ドーパミンの受容体の数が少なく、報酬系が刺激されにくいため、刺激的なものを求めやすく、注意散漫になりやすい。

ドーパミンは、周囲の雑音を消す働きもある。自分が集中しているもの以外の情報をシャットアウトしてくれる。

 

〇集中物質「ドーパミン」を総動員する

ドーパミンの分泌量が減ると雑音が発生する。ドーパミンが細胞に取り込まれないと集中力も低下する。

ADHDの治療では、ドーパミンの濃度を高める薬を処方する。薬以外でドーパミンを増やす方法、それが運動だ。運動によって報酬系前頭葉の両方がうまく調整され、集中力が上がるだけでなく、我慢する(自己抑制)力も向上する。

 

〇「注意散漫」の最新サイエンス

ある実験で17人のADHDの可能性が高いと診断された子どもに授業が始まる前に心拍数を増やすことを目安にした遊びをさせたところ、3分の2を超える子どもに集中力の改善が見られた。同様の実験を200人規模で行ったところ、同様の結果が得られた。特にADHDの徴候を持つ子供に顕著だった。

ある研究によれば、5分だけでも運動することによって子供の集中力が改善され、ADHDの症状も緩和されるという。

運動によって集中力が高まるのは、大人にも言えることなのかを調べるため、17歳の1卵生双生児を対象に調査を行った。17歳のときに注意力、多動性などを調べるための質問に答えてもらい、3年後に同じ質問に答えてもらう。ほとんどの人が20歳になった時の方が、集中力が高くなっていたが、特に余暇時間に身体活動を行っている人の方が集中力が高くなっていた。双子のうち、日常的に体を動かす方と、座りがちな方を比較すると、日常的に体を動かす方が、集中力が上がっていた。

集中力の違いは遺伝子や環境ではなく生活習慣によることが示唆された。

 

〇自分をコントロールして最後までやり抜く

なぜ身体を動かすと集中力が高まるのか。それは私たちの祖先がサバンナで生活していたころ、動物に襲われたり、狩猟をしたりするときに身体を動かし、その時には、集中力を発揮できるかどうかが生死を分けたからだ。

注意力が欠如していること、ADHDの特性を持っていることは好ましくないことだと捉えられがちだが、成功したビジネスリーダーや起業家にはADHDの特性が見られることがよくある。結果が出るのをじっと待っていられないということがプラスに働く場合もある。大昔の生活においても農耕型の民族にとってはマイナスに働くが、狩猟・採集型の民族にとってはプラスに働く。

私たちの身体は環境に適応するように進化してきたが、現代は環境の変化のスピードが速く、そのしわ寄せが認知機能にきて、その結果が集中力の低下につながっている。

運動によって、集中力を向上させることができる。できれば朝、遅くとも午前中には運動をしよう。できれば最大心拍数の70~75%くらいまで心拍数を上げ、30分続けると効果的で、それを習慣にすることで脳の機能が改善される。