おはようございます。こんにちは。こんばんは。
今回から、クリスティーン・ポラスさんが書いたThink CIVILITYの要約と感想を書きたいと思います。
この本を読もうと思ったきっかけは、副題がかっこよかったからです。
副題:「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
〇はじめに 礼節は最強の武器になる
無礼な態度が横行する職場は金銭的な損失が大きい。無礼な態度をとることは道徳的に良くないと言うより、経営者には、その方が刺さりやすい。
無礼な態度をとられていると感じている人の
・48%が仕事にかける労力を意図的に減らす
・47%が仕事にかける時間を意図的に減らす
・38%が仕事の質を意図的に下げる
ことがわかった。
どんな立場の人であれ、仕事で成功するためには、自分にある問いかけをする必要がある。
問:自分はどういう人間になりたいのか
第1部 なぜ礼節ある人は得をするのか
第1章 無礼な人が増えた根本理由
〇まずは無礼について知ろう
過去20年悪化し続けている
アメリカの調査で、過去20年間は、現在のアメリカの礼節に問題があると感じている人の割合が増え続けていることが分かった。
問題なのはされた側がどう感じるか
上司の無礼な言動
・部下を人前であざける、軽く扱う
・部下の仕事ぶりを常に過小評価し、自分の組織の中での地位は低いと思い込ませる。
・部下を心が傷つくほどひどくからかう
・成功したときの手柄は自分のものにするが、なにか問題が生じたときには他人のせいにする
などがあるが、重要なのは、その言動が本当に相手に対する尊敬や配慮を欠くものだったかどうかではなく、された側がどう感じたかである。
〇礼節が悪化し続ける本当の理由とは
①グローバリゼーション
文化の異なる人が同じ場所にいることで、何の気なしに言ったことが別の人には無礼と感じられること
②世代の違い
アメリカの研究では、現在の学生は25年前の学生に比べて自己愛が強いことが分かっている。自分への関心が強まった結果、他人への関心が向かなくなった。
③職場環境、人間関係の変化
ひとつのオフィスで働く人の数が年々減っている。テレワークも進み、面と向かってのコミュニケーションが減っている。
インターネットの普及により、電子機器でのコミュニケーションが可能になったが、そこでは、誤解や欠落が生じやすい。
他人を傷つけたくて無礼な行動をとっているわけでなく、無意識に無礼な行動をとっている。原因は明確でないが、私たちは自分にばかり目を向け、他人に目を向けなくなっている。
〈ここまでの感想〉
言われてみれば、この人、良い人だなと思えるような人は大抵、礼儀正しい人だと思った。職場で仕事ができる人も大体そうだ。私は、自分のことでいっぱいいっぱいで、他人に目を向けられない。他人に失礼なことをされるとイラっとするし、すごく嫌な気持ちになる。ただ、同じことを他人にしてはダメだと思う。それは難しいことかもしれないが、この本を読んで、自分ができそうなところから改善してみようと思う。
第2章 無礼な人がもたらす5つの費用
〇無礼な人のコストを可視化すると
①無礼な人は同僚の健康を害する
仕事内容より人間関係が重要
無礼な人は人の免疫システムを害することがある。ある調査で、職場の環境、上司はどうか、同僚は友好的に接してくれるかどうかなどを繰り返し聞き、それと同時に健康状態の変化を詳しく監視した。勤務時間の長さ、仕事の負荷、与えられた権限、などは直接影響していなかった。重要だったのは、ともに働く人たちの態度が協力的、友好的だったかどうかだった。
②無礼な人は会社に損害をもたらす
アメリカ心理学会の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは年間5000億ドルにのぼるという。無礼な人間が害になるのは、医療費が高くなり、病欠が増えることだけでなく、管理職の負担が増えることもある。離職する人が増えれば、新しい人を雇うコストもかかるし、無礼な人が原因の人間関係の悪化を修復するためにも時間をさかなければならなくなる。
また、無礼な態度をとる店員がいる企業からは、モノを購入したり、サービスを受けたりしたくなくなるという研究もあり、それは企業の売り上げを下げることになり、収益が下がってしまう。
③無礼な人は周りの集中力を下げる
人は無礼な態度を一度経験しただけでも、目の前のことに集中できなくなってしまう。
④無礼な人は周りの認知能力を下げる
チームの中に無礼な人がいると、他人に助けを求めずに自分の力でどうにかしようとし始める。これは他のメンバーを信用しなくなったからである。また、新しいことを試そうとせず、ミスをしても話さなくなり、問題が起きる可能性に気付いてもそれを他の人に連絡しなくなる。
⑤無礼な人はまわりを攻撃的にする
一度侮辱的な発言をされると、された側の人には否定的な言動がこびりついて、思考が否定的になり、それが行動にも反映される。
職場に無礼な人がいるとき、多くの人はなんとか穏便に済ませようとする。人間はひどいことをされても立ち直る力があると信じているが、本当にそうだろうか。理不尽な扱いを受けてきた人は注意力、集中力が低下し、自分の力を発揮できない。直接無礼なことをされた人だけでなく、周囲にも悪影響をもたらし、組織にまで悪影響が及ぶこともある。
〈ここまでの感想〉
攻撃的なこと、否定的なことを言われたときに、いつもなら何の抵抗もなく簡単にこなしている仕事が全く手につかなくなった経験がある。誰かそういう人がいると全体の雰囲気が悪くなって、みんなの仕事に対するモチベーションも下がってしまうということは何回も見てきた。そうなってしまうということを知っているだけでも行動を変えられるかもしれない。自分がそうなっていないか見直す必要があると思った。
第3章 礼節がもたらす5つのメリット
〇礼節はあなたの人生をきっと変える
無礼でないだけではただ中立的なふるまいをしているにすぎない。他人を尊重し、品位を感じさせる丁寧で親切な態度で、周囲の人の気分を良くしなくてはいけない。
礼節ある言動とは、相手を丁重に扱うということだが、必ず心から相手を尊重する気持ちがないとうまくいかない。見返りに何かを得ようとする気持ちがあるとうまくいかない。
〇礼節ある人が得られる3つのメリット(個人編)
①仕事が得やすい
礼節がある人には声がかかりやすい。仕事を手伝ってもらいたいときに声をかけるのは、仕事に詳しいが横柄な態度をとる人ではなく、一緒に仕事をして楽しいと思える人だからだ。
②幅広い人脈が築ける
礼節がある人は容易くネットワークを築くことができる。人的ネットワークからは、多くの助言、利益、キャリアアップの機会を得ることができる。
③出世の可能性が高まる
リーダーまで上り詰めたいと思うなら、周囲の人からその地位にふさわしい人だと認めてもらう必要がある。そのためには礼節がある人になる方が良い。気配り、優しさ、思いやりなど従来、女性的と思われていた資質をもつ人がリーダーに選ばれやすい。
〇礼節ある企業が得られる2つのメリット(組織編)
①礼節ある上司のチームは高い業績をあげる
リーダーが礼節ある人なら、誰かがみミスをしても早く見つかり、誰もが率先して行動し、メンバーの精神的な消耗が少なくなる。仕事の定着率が高まり、雇用にかかるコストが抑えられる。
②礼節ある経営者は従業員に安心感を与える
礼節あるリーダーの方が、安心感が得られ、従業員は情報を共有しやすくなり、新しいことにチャレンジしやすくなる。メンバーが安心して仕事に取り組むとチーム全体の業績が向上する。
〇世界のトップ企業は礼節を重んじる
自分の企業の中での影響力を高め、キャリアをより良いものにするためには、無礼な態度よりも他人に対し敬意と礼節のある態度をとる方が得策である。
礼節ある態度は賢明さの表れだ。他人を丁重に扱っていれば、その人の助けを得られる可能性は高くなる。また、リーダーが部下を丁重に扱っていれば、部下はそのリーダーのために懸命に働くだろう。
些細な会話一つでも注意していれば変えることができる。人の上に立つ人の評価はほんの少しのことで変わる。逆に言えばほんの少しのことに気を付けていれば評価をあげることができる。
第4章 無礼は無礼を生み、礼節は礼節を生む
〇人は無礼さに触れるとどうなるか
無礼な態度をとられる、無礼な態度の人を見ると、仕事や運動に集中できず、やる気もなくなり、パフォーマンスが低下する。無礼な態度をとられた本人だけでなく、同じ空間にいる人にも伝染してしまう。無礼な態度をとられると、その後、無礼な態度に注目しやすくなる可能性がある。
〇「たった一言」が行動を変える
無礼な言葉を聞いたり、見たりすると、他人に対して攻撃的になったり、相手の話を遮ったりする可能性が高まる。
無礼な言葉を聞いたり、見たりした場合に必ずそうなるわけではなく、礼儀正しい態度に触れれば、それをリセットすることも可能。
〇無礼さのウイルスを排除するための方法
小規模な企業の創業者の中には、態度が無礼な人が少なくない。大企業がそういった会社を買収した際に、小企業の創業者の悪影響を受けることもある。それを防ぐために、買収した小企業の創業者を会社に入れない隔離政策をとることがある。無礼さは伝染することがわかっているので、それを防ごうとする。
〇無礼さは脳に焼き付く
一度無礼な態度をとられると、その記憶は脳に焼き付く。上司から能力を否定されたり、誰かに悪口を言われたりしたことがあると、その人がいなくなった後でも少しのきっかけで負の感情が湧き上がるようになる。
嫌な人たちに囲まれて日々を過ごしている人は無意識のうちに利己的になり、思慮を書いた行動をとるようになる。良くない環境にいれば自分の言動も良くないものになり、それがさらに他人に悪影響を及ぼす。
〇無礼さだけでなく礼節の伝染力も強い
無礼な言動の悪影響は短時間のうちに広まるし、影響はその言動のあとも長く残ることになる。しかし、礼儀正しい言動にも同じことが言える。
私たちの一人一人が些細な行動に注意すれば、温かく、互いのことを認めあえる雰囲気、皆に元気を与える空気を作り出すことができるようになる。
第5章 あなたの礼節をチェックしよう
〇礼節をチェックするための7つの方法
[方法1]他人からフィードバックをもらう
人は誰でも気分よくいたい。良い行動をとったときに褒めてもらえればその行動はより強化される。
自分が何か称賛できる行動を行ったときに必ず褒めるように他人に依頼する。良い行動とはどういうものなのか、自分がどういうときにどんな行動をとるのかを知ることができる。このフィードバックがある程度集まったら、共通性がないか調べてみる。さらに自分の行動を改善するためには何ができるかを考えることも大切。
周囲に意見を求めるときにはフィードフォワードも効果的。
①自分の目標を相手に伝える
②①の達成に役立つアイデアを提案してもらう
③相手の提案によく耳を傾ける
④提案してくれた人に感謝の気持ちを伝える(言い訳、自己弁護をしてはいけない)
⑤相手を変えて①~④を繰り返す
他人の目から見て自分の行動が改善されているかどうかを確認する必要がある。
[方法2]できるコーチの指導を受ける
利害関係のない第三者に自分の良くないところを指摘してもらうのは大事だ。そのためにはコーチを使い、コーチに自分の言動を細かく観察してもうといい。同僚が自分の態度についてどう思っているのか、会議での発言はどうかをみてもらう。優れたコーチであれば、無礼な言動が見られたときに、自分にどのような思い込み、過去の体験、性格的傾向があるかを指摘し、改善案を提案してくれる。
[方法3]同僚や友人に協力してもらいチームで改善に取り組む
必ずしも全員がコーチを雇えるわけではない。そんな場合は、同僚や友人からフィードバックをもらうのがいい。
カードの片面に相手の良いところ、これからも続けてほしいところを書き、もう片面に相手のどの行動を修正・改善すべきかを書く。
[方法4]ゴールドスミス式360度フィードバックを利用する
[方法5]人の感情を読み取る訓練をする
・日々を過ごしながら、身近な人たちをよく観察する
・他人の感情をどの程度読み取れるかをテストを利用して確かめる
・身近な人たちとともにゲームをする
・想像力を高める努力をする
・好きなテレビや映画を見て、その中に出てくるひとりの人物の言動、会話に注目する
・ロールモデルを探す
[方法6]毎日、日記をつけてみる
自分の言動を日々記録しておけば、どんな状況で言動が良くなりやすいか、反対に悪くなりやすいかが分かる。読み返すことで、自分の態度はどう改善したのか、それによって周りの反応がどう変わったのか、そういったことを記録しておけば自分の進歩の度合いを確認することができる
[方法7]食う・眠る・動くで自分を大切にする
・日常的に運動する
自分の仕事が順調だと感じている人は誰かに無礼な態度をとられてもうまく対処できるし、他人に無礼な態度をとりにくい。
運動には認知能力を高める効果、ストレスを軽減する効果がある。
日常的に運動していると感覚が鋭敏になり、注意力が高まるため、必然的に自分の言動にも他人の言動にも敏感になる。
・1日7~8時間睡眠をとる
自分の思考・感情・衝動は脳の前頭前野、扁桃体が大きく関与している。それらの部位が正常に機能するにはブドウ糖が必要で、ブドウ糖は睡眠中に補給される。
睡眠不足になると理解力も低下する。物事の状況を正しく把握できず、正しい対応ができなくなる。他人の声の調子から何を考えているかを汲み取る能力も下がってしまう。
少しのことでいらだつようになり、職場に悪影響を及ぼす。
何より悪いのは、自分が他人に無礼な態度をとっていることに気付けなくなることだ。
・1日の食事回数を多くする
血中のブドウ糖濃度を適切に保つようにするといい。
1回の食事を軽くして食事の回数を多くする。
GI値の低い食品を少しずつ何度もとるのがいい。軽食としては果物、野菜、タンパク質含有食品(ナッツ類、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ等)がいい。
・瞑想やヨガで精神を整える
いわゆるマインドフルネスも自分の置かれた状況をゆっくり落ち着いて思慮深く対処できるようになるための手段として利用できる。体の状態を整え、集中力を高めることができるので、他人に対する態度も改善される可能性が高い。
〇欲張らず基本から始める
自分が能力を最大限発揮するためには、同僚やコーチに助言を求めたり、信頼できる情報を探したりすることは当然だ。謙虚になって一歩ずつ前進していくしかない。
自分に多数の良くない点がある場合にそれを一度に直そうとしてはいけない。まずは基本的なことから始める。
第6章 礼節ある人が守る3つの原則
〇正しく実践できれば、最高の成果が出る
より礼儀正しくなるには、まずは基本に目を向ける必要がある。
常に周囲に気を配ること、他人の立場でものを考えること、笑顔でいる時間を増やすことも大事。
まずは取り組みやすい簡単なものから始めよう。
気を付けてほしいものはたったの3つ。その3つに気を付けるだけで周囲の評価、対応は大きく変わることに間違いない。
〇原則の前に身に付けておきたい基本の言葉
これまでに人間の200種類を超える行動特性が調査の対象になっている。その中でも特に重要なのが、温かさと有能さである。
良い印象でも悪い印象でも、この2つで90%が決まってしまう。
温かさと有能さは相反するものではない。あの人は優秀だけれども一緒に働きたいと思わない、あの人は親切だけど、さほど頭が良いとは思えないなどと言われがちだが、そんなことはない。
この人は有能なうえに温かいと思ってもらうためにできることは、礼儀正しくふるまうことしかない。
自分が有能であることを証明することにかられがちであるが、先に信頼を得ておくとその後の評価が上がりやすい。些細な非言語コミュニケーション(微笑みかけること、相手の話をうなずきながら聞くこと)が有効だ。
【原則1】礼節ある人は笑顔を絶やさない
笑うことは自分自身の気分を高揚させたり、免疫システムを活性化させ、ストレスを軽減し、血圧を下げ、心臓発作を起こす危険性を低下させるとも言われている。
笑顔は人を安心させるし、親近感ももてる。何より周りを元気づけることができる。
普通は外から何かの刺激を受けて笑顔になるが、自分の意識を変えて笑顔になるようにするといい。自分の子どもの時を思い出す、趣味について考える、誰かが面白いジョークを言う、など自分が自然と笑顔になるときがどんな時な考える。
自分が苦しい状況に陥ったときも、その状況自体を笑う工夫をする。やり直しがきかない緊張する場面でも楽しくなることを思い出すと良い結果につながることが多い。
【原則2】礼節ある人は相手を尊重する
大企業トップ3の役職についている人達に行った調査で、成功するために最も重要なことは、部下たちとの人間関係であることがわかっている。
社員の仕事へのやる気を最も大きく左右するのは上層部の姿勢だという。
たとえ地位が自分より下の人であっても、相手の存在を認め、尊重することが大切。
【原則3】礼節ある人は人の話に耳を傾ける
相手がまだ話しているのに遮って自分が話し始めてしまう。
聞いているふりだけして聞き流してしまう。
どうすれば人の話をよく聞くことができるのか。まずは、聞く態勢を完璧に整える。自分の何もかもを目の前にいる相手に向ける。相手の目を見て、相手の話す内容を聞きながら、相手の感情の変化にも気付くべきだ。
RASA
R:Receive(受け取る)
相手の話をそのまま受け取る
A:Appriciate(尊重する)
できるだけ余計な合いの手をいれない
S:Summarize(要約する)
話をまとめる
A:Ask questions(質問する)
話が終わった後に質問する
相手が話している途中に遮りたくなっても、それをこらえ、相手が話し終わるのを待つ。
同僚に自分が相手の話を遮っていないかを見てもらうのも大切だ。
第7章 無意識の偏見を取り除こう
〇礼節は多様性の真価を引き出す
私たちの脳には絶えず大量の情報が入ってくる。情報の大半は無意識のうちにショートカットされ処理される。ショートカットの際にステレオタイプを利用することで、さほど重要でない情報や明らかに間違っている考えを除去することができる。ただ、ショートカットのせいで間違った判断をしてしまうことがある。老人に会うと記憶力、創造性に乏しいはずだと思ったり。
本来は社員の評価は能力だけで行うべきだが、偏見があるとそうはならない。評価が適正でなければ、その後の仕事への励みにもならないし、間違いを修正することもできない。
無意識の偏見と闘う第一歩は、隠れている偏見を表に出し、目に見えるようにすることだ。自分にはどういう偏見があるか、その偏見によって影響を受けているのは誰か、それによってどのような効果がもたらされているのか。
〇無意識の偏見を鎮める方法
相手と自分の共通点に注目する。
同じ町に住んでいる、同じスポーツチームのファンであるなど。
第8章 ワンランク上の礼節を身に付けるための5つの心得
①与える人になる
与える人は周囲の人と深い関係になる。この関係が長期的には大きな成果につながる。自分のリソースを他人と共有する人は自分の存在に意味を感じることができ、目的意識を持つこともできる。自分の他人に対する貢献が重要であると感じていれば、苦しい状況になっても簡単にくじけることはない。
リソースには、情報的リソース(専門知識や技術)、社会的リソース(意識や立場)、個人的リソース(労力や時間)がある。
情報的リソースと社会的リソースは他人に与えても自分のものが減らないが、個人的リソースは他人に与えた分だけ減ってしまう。個人的リソースを他人に与えるかどうかはよくかんがえなければならない。
②成果を共有する
良いリーダーはスポットライトの下で自ら輝くが、偉大なリーダーは、自分だけでなく、自分の下にいる人を輝かせる。
自分以外の人を立てる謙虚さは様々な点で良い効果をもたらす。誰もが他人を素直に評価するような環境では、もともと持っている人間性、能力を超えるような成果をあげる可能性が高まる。
小さな成功体験が人をやる気にさせる。やる気になるとさらに成功できる可能性が高くなる。大きな目標を達成したときにはじめて称賛するのではなく、小さな目標を達成するたびに周囲の人にもわかるように称賛するといい。
③褒め上手な人になる
褒められた記憶は残りやすい。
感謝を言葉で伝えると、自分の希望が聞き入れられやすくなるだけでなく、第三者の希望も聞き入れてもらえる可能性が高まる。
心からの感謝の言葉を聞くと、人間の心は高揚する、元気が出る、良い行動を促す力にもなる。注意すべきなのは、感謝のされ方にも人によって好みがあるということだ。分かりやすく大勢の前で感謝されたい人もいれば、それを嫌う人もいる。言葉で感謝を伝えられたい人もいれば、何か贈り物という形で伝えられるのを好む人もいる。そのため、時間をかけて、相手がどういう感謝のされ方を好むかを確かめておくといい。直接聞くのも良い。
感謝をきちんと伝えれば、相手からの信頼が強まり、人間関係が良くなる。人間関係がよくなればそれだけで、仕事の成果が上がるだろう。
④フィードバック上手になる
フィードバックはその内容よりもやり方が大切。悪いことをいうときでも好意的な態度で言う方が良い。内容が良くても顔をしかめながら伝えたら相手への印象が悪くなる。
フィードバックはなるべく早い方がいい。
ネガティブなフィードバックだけでなく、ポジティブなフィードバックも必要。会社内でその両方のフィードバックが遠慮なくできれば業績が向上する。
⑤意義を共有する
自分の仕事の意味を感じられる人は、会社に利益をもたらす。
自分自身が前進していること、成果をあげられていることを実感できることが重要。
社員に誰よりも元気を与えてくれるのはエンドユーザー。
第9章 礼節あるメールの作法を身に付ける
メールはビジネスの様々な場面で役に立っている。しかし、感情的になってメールを送ってから、そのメールを撤回したいと思ったことはないだろうか。
→正直、何回もある・・・。一時の感情で送ったが最後、取り消すことはできないし、抗議の電話はかかってくるし、とても後悔したことを覚えている。
それを防ぐためには、まず、自分の今の状態に自覚的になる必要がある。メールは表情やボディランゲージなどの情報がなく、テキスト情報しか相手に届かない。
・どういう内容のメールをいつ送るか
・なぜこのメールを送るのか
・メールは相手の時間を奪うから、メールの長さにも気を配る
・明瞭な文章、ウソのない文章にする
・不特定多数に無差別にメールを送らない
・他人の個人メールアドレスを無断で多数の人に教えない
〇「お願い」のメールを送るときのコツ
まず、本当にお願いしないといけない内容か、依頼する相手はその人が適切かをよく考える。インターネットで調べればすぐにわかるようなことを聞いてはいけない。
〇やってはいけない3つの使用方法
・会って伝えるべき内容をメールで済ませる
・会議中にスマートフォンをチェックする
・勤務時間外にメールを送る
第10章 礼節ある人を見極める採用システムを作る
無礼な人を会社に入れないことが大切
無礼な人には多くのコストがかかる
面接のときには、「もし〇〇の状況だったらどうしますか」といったもしものことを聞くのではなく、そのひとが過去に経験したことを聞く方がいい。実際にどういう対応をとったのかを聞くことで、その人の人となりがわかる。
また、その人のことを良く知る関係者から話を聞くこと、面接に来た時の態度(駐車場の案内係、受付係への言動は横柄でなかったかなど)がその人のことを知る大きな材料になる。
採用する側も礼節ある人間でなければならない。
ジェフ・ベゾス曰く、誤った人間を雇うくらいなら、50人面接しても誰も雇わない
それくらい、無礼な人の組織に与えるマイナスの影響が大きいということだ。
第11章 礼節を高めるコーチングを取り入れる
経営理念として礼節を守るということを盛り込む
企業の行動規範を社員みんなで話し合って決める
礼節を守るためのトレーニングが必要。適切なコーチをつけ、フィードバックをうけ、行動を改善していく
丁寧に指摘しあえる人間関係を構築する
第12章 誤った評価システムを改善する
結果だけに目を向けずに、社員がどのように仕事に取り組んだかの過程を重視する
礼節ある行動をとった人、結果を出した人が結果を出すために協力し、貢献した人を評価するシステムを構築する
社員同士が評価しあえるシステムを作り、礼節ある態度が評価されるということが分かれば、礼節ある言動をとるモチベーションにつながる
第13章 無礼な社員とどう向き合うか
フィードバックループの4つの手順
①証拠を提示する
例:あるマネージャーが部下の話を聞こうとしない、大勢の前で大声で叱責する
②証拠の妥当性を確認する
例:マネージャーの業績が低下している、周りで働く人たちがやる気を失っている
③悪い行動を続けた場合どうなるかを説明する
例:そのままだと昇進が危ういということをマネージャーに伝える
人間が行動を変えるのは、そうすることが自分の価値観に照らし合わせて良いことだと証明されたときである
人間は「こうすると得」よりも「こうすると損」に強く反応する
無礼な人には行動を改善しないと損であることを理解させる必要がある
④改善を実行させる
例:どうなることが最終目標(具体的で明確で数値化できるものが良い)かを一緒に決める、その目標に向かって努力させる、何が無礼な行動の原因(ストレス、不安感など)なのかを理解させる